T井R子について21

懇談から数日後、私は再びG民商に行った。そこで赤旗を読む私にNは、
松本清張は小学校卒業だぞ」
それでも作家になった。。。そう、小説家は、学歴は絶対ではない。大江健三郎みたいに東大出でなけば作家になれないわけでない。齋藤智裕とて、慶応出身。しかしながら、私が大学に行きたがった理由は学歴ばかりでなし、「勉強できる環境」がほしかったからでもあった。とはいっても、Nは言っていたが、
「なれるのは、飯食えるのはほんの一握り」
これも、的を射ていた。
職業作家になれるのは、運がいい者だけ、というのは間違いない。
脱線したけど、Nは(赤い大学のことは忘れて一年と言わず)民商でやってくれ、と言った・・・もし万一Nが、
「3年勤めたら、新日本出版社に口を利こう」
与太でもこう言えば、私はT井に<その必要はないけど>詫びて、Nの言うことを聞いたかもしれない。しかし、悪い意味で若く、かつ愚かだった私は、T井に対して、偽善者であるにもかかわらず、彼女への誠が、脳裏を離れなかった。
_ついで申す。T井のことは、Nには話していない_
選択肢の一つだったはずのことが、盾になってしまう、皮肉だった。
kimitoki