T井R子について20

しかしながら、愚かな私は、T井に言えずにいた。自身のことではあったからだ。もっとも、言ったところで、いかにごまかすかしか、問題にはならなかったろうけど_____
ヒポクリットが、「仲間」の立場で物事を考えることは、有り得ないからだ。よって、「相談」したところで、T井は私を中傷しただけだったろうとは思う、裏切るのか、とばかりに。
かといって、Nの提案を鵜呑みにしてしまうと、暮らしはましになったかもしれないが、その時の私の生の望み、職業作家という夢そして可能性が潰えてしまう気がした。このような事態を招いたのは、離郷間際に、T井のせいとはいえ左翼とのかかわりをフリーズできなかったからだ。その際にT井は偽善を使ったから、この女に対して私は、千年の恨みを今も抱いている。
確かに、20年前の民主文学という枠内でよければ、「作家」にはなれたかもしれない。しかしあれは、少なくとも載っていた「小説」は、あまりにレベルが低かった。書き手自身は、リアルドローイング、のつもりなのだろうけど、単に練ってない、しかも突き放しが利いていないだけの代物に過ぎなかった。
思いっきり脱線したけど、赤い大学のことで譲れなかった私とNたちとの話しは、折り合いがつかずに終わった。もっとも、これで終わるほどNは甘くなかったが。
_Nの提案を受け入れるなら、それはそれで、T井にことわるべきだったであろう_
kimitoki