T井R子について 7

「秘密をばらせ」
そう強要された時点で、聡明な者なら、「これが狙いだったか」と気づいて、以後無視するなり取り合わないなり、かつ義憤を抱く者なら、
「貴様、それでも人間か!」
卑劣で佞奸なT井に、罵声を浴びせたことだろう。いまの私だったら、おそらく、何も言わずに電話を切り、向こうからかけ返してきたところで、赤いボタンを二度押して、切ってしまう。
ところが、当時の私は、今より愚かだったせいもあるが、この
T井によしみを覚えていたことと、ヒポクリット特有の「やさしげ」に惑わされていた私は、沈黙してしまう。
ただ、一応ネット「作家」なので、T井がいかに「やさしげ」だったか、書く必要があろう。
声調は、低くクリア。でもって、ややゆっくり。そして、どっちかというと「語りかけ」口調。また、眼差しは、垂れ目気味の、垂らし目、といった方が的確か、そんな感じでものを言われたら、大抵の人は、「やさしい人」なんだな、と思うだろう。でもこれらが、「計算」されたものだとしたら、どうだ?こんな嫌な人間も、きっといないだろう。
「やさしげ」に、「みんなにホントのこと言って」と言われた私は、沈黙を続けたが、そうしたところで、
「苦しいのは君だよ」
<書いていて、怒りと憎しみのみが湧いて来る。>
しかしながら、その当時の私は、T井の偽善、姦計を、この強要を愚かにも呑んでしまった_____
世間様の、差別の対象であった左翼が、自身の人生で、まして夢を追う者の足引っ張りになることを知りながら。


後年私は、T井に、恨み辛みを書き綴った手紙を送ったことがあった。
それには、なぜか返事が来た。
他人の人生を歪め、狂わせておいて、書いてあったことは、
「わたしのアドバイスが不幸をもたらしたなら、おわびします」
T井R子に、人の心はきっとない。
kimitoki
まだまだつづく