T井R子について27

その日は、なぜかお迎えに、Hが車で来た。しかも、いつも時間を守らない者が、予告どおり<PM五時ごろ>きっかりに。


これが、T井とのふか〜いつながりの端緒になるか、というと、そんなはずはなかった。
T井とのツーショットを目論んだ私には、非情な結果に終わった。
耶馬溪へ向かっていた途中、T井らが乗った車と合流。そして、HがT井らと車外で話し合った。私は車内でじっと様子を見ていたが。。。Hが車に戻ったところで、
「キャンプ中止」
一事が万事、やることなすこと全ていい加減なこの青年団体に似つかわしいことであった。何でも、耶馬溪は大雨、とか。だったら下調べとか、いかに20年前でも週間天気予報くらいはやっていたのだから、それらの情報を入手してから行動を決めてもよさそうなものだが、行き当たりばったりなうえに、形式主義的な連中には、そういう頭は働かないのだろう。何より、あらゆる意味でシミュレーションができないのが、この連中の痛いところ・・・山地が、天気が変わりやすいのは常識なのに。
これで、幻想も妄想も下心も木っ端微塵になった私だった。
それらの代わりに、T井が私に見せたのは、「本性の部分」だった。
どうにかして、赤い大学云々の呪縛めいたものを振りほどきたかったのと、まやかされていたから、とはいってもよしみが募っていたのは確かで、それらをT井に、打ち明けたかったのだが。。。
kimitoki